ぐっすりと眠れるようになるために大切なこと
夜、寝ようとすると、将来のことが不安になり、なかなか眠れません。眠れないことで焦ってしまうと、さらに眠れなくなってしまいます。どのように気持ちをコントロールしたらいいでしょうか。
ぐっすりと眠れるようになるために大切なこと
現代人は、不眠で悩む人が増えています。現在、およそ5人に1人が、睡眠に何らかの困りごとを抱えているといわれており、特に年齢が上がるにつれて、不眠に悩む人は増える傾向にあります。
睡眠は、私たちの健康を維持するために欠かせないものです。脳を休ませ、体の疲れを取り、心身の機能を回復させる働きがあります。また、昼間覚えたことを、脳に定着させたり(短期記憶を長期記憶に変える、といいます)、免疫力を高めたりする働きがあります。
逆に睡眠不足の場合は、数日ならそれほど問題はありませんが、長期に不眠が続く場合は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に悪影響があったり、精神的にも注意力が落ちたり、イライラしやすくなったりします。
最近では「睡眠負債」といって、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を与える、それは休日の「寝だめ」でも十分解消されない、ともいわれています。
その意味で、この質問者の方が、眠れないことを心配されているのは、無理もないことですし、多くの人が同じような悩みを抱えておられるのではないかと思います。
さて、ではどうすればぐっすり眠れるようになるでしょう。「薬をのめばいいじゃん」と言う人もあると思います。いわゆる睡眠薬とか、睡眠導入剤です。最近では、睡眠改善薬、といわれるものも市販されるようになってきました。
もちろん薬も、のめばそれなりの効果がありますし、有用な物ですが、ただ、その前に、考えてみるべきことがあります。
それは、睡眠環境の調整と、睡眠教育です。それについてまず詳しく述べたいと思います。
①睡眠環境の調整
ぐっすり眠るために、寝る時の環境は大事です。
中には、「どんな環境でも、横になったら5秒で眠れる」と豪語する人もあります。しかし一方で、「枕が変わっただけで眠れない」「冷蔵庫の音がうるさくて眠れない」と言う人もあるのです。そういう人にとっては、睡眠環境を調整することが必須です。
睡眠環境には、以下のようなものがあります。
●明るさ
基本的には、昼は明るく、夜は暗く。起きている時と眠る時の明るさのメリハリをつけることが大事です。ただ、真っ暗になるとよけいに眠れない人もありますから、その場合は、足元灯や光量の調節ができるライトを使う方法もあります。
気をつけたいのは朝の光で、夏などは、早朝から部屋が明るくなると、それで目が覚めてしまいます。そういう場合は、遮光カーテンを使って、起きる時間までしっかり暗さを保つ工夫も必要です。
●温度
寝間着と寝具を使って眠る場合の快適な室温は、夏は25度、冬は17〜18度といわれています。特に年配の方は、エアコンが苦手だと言って、真夏でもエアコンを切って寝る方がありますが、最近の暑さは昔と違い、室内でも熱中症になる可能性があります。設定温度を高めにし、冷気が直接体に当たらないようにして、一晩中つけておいたほうが眠りやすいということもあります。
●湿度
あまりにもじめじめしていると、寝苦しいこともありますし、逆に空気が乾燥して、肌が乾燥するために、かゆみが出て、眠れなくなる場合もあります。加湿器や除湿器などを上手に使って、適切な湿度を保ちましょう。
(『月刊なぜ生きる』令和4年8月号より)
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『月刊なぜ生きる』令和4年8月号
価格 600円(税込)