若者の死因のトップは“自殺”

人は、何のために生まれてきたのでしょうか。どんなに苦しくとも、生きねばならぬ理由は何か。

なぜ生きる。

これこそ最も大事な、いや、一刻も早く解決しなければならない問題なのです。その重要性、緊急性を示すために、「自殺」について考えたいと思います。

確かに自殺は、できれば考えたくない暗い悲劇でしょう。だからといって、目を背けることは許されません。世界保健機関(WHO)の統計(2012年)によれば、世界における一年間の自殺者は約80万人です。40秒に1人が、自ら命を絶っていることになります。

日本人の死因の第一位はガンだとよくいわれますが、それは40歳以上の中高年のことであって、10代から30代までの若者は、自殺がトップです。これほど深刻な社会問題があるでしょうか。未来を担う子どもたちの命を守るのは、大人の責務です。

※ 厚生労働省「令和3年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より作成

アメリカには人口より多い数の銃があり、その規制が盛んに論じられています。しかし銃を自分に向けて世を去った人は、銃で殺された人の二倍に上ることは、あまり知られていません。

人類の歴史においては、戦争と殺人で命を落とす人よりも、自殺者のほうが多いのです。戦争や犯罪をなくすことも大切ですが、自殺をなくすことは、もっと尊い人助けであり、最大の人命救助といえるでしょう。

「生きる意味が分からない」
人間にとって、これほどの苦しみはない

なぜ苦しくても、自殺してはいけないのか。哲学が論ずべき重要な問いは、これ一つだとカミュ*は言います。

真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。人生が生きるに値するか否かを判断する、これが哲学の根本問題に答えることなのである。それ以外のこと、つまりこの世界は三次元よりなるかとか、精神には9つの範疇があるのか12の範疇があるのかなどというのは、それ以後の問題だ。そんなものは遊戯であり、まずこの根本問題に答えなければならぬ。

『シーシュポスの神話』カミュ(著)清水徹(訳)

自殺を防ぐには、その原因を取り除かなければなりません。自ら死を選んだ人には、さまざまな事情があったのでしょう。しかしそこには、根本的な理由があるはずです。生に絶望し、自分の意志で終わらせようとする生物は、人間だけだからです。

人間の特徴である「自殺」を、哲学的に分析してみましょう。それによって「人間とは何か」が明らかになります。
*カミュ……フランスの小説家

(『月刊なぜ生きる』令和5年2月号より)

続きは本誌をごらんください。

『月刊なぜ生きる』令和5年2月号
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