老人ホームで、うまくやっていくには、どんな準備が必要ですか?|明橋大二先生のハッピーアドバイス

75歳・男性

Q. 今は健康ですが、やがて体力が落ちて自分のことができなくなった時のために、老人ホームへの入居を考えています。しかし、ホームで見知らぬ人たちとの共同生活をうまくやっていけるか心配です。入居者同士のトラブルなども時々耳にします。ホームでうまくやっていくために、どんな準備をしたらいいでしょうか。

明橋大二先生

A.老人ホームだけでなく、今や、多くのタイプがあります

高齢化社会の到来とともに、高齢者の住居の形も様々となっています。

以前なら、息子や娘夫婦、孫と同居して、体が不自由になれば、子どもの世話になる、ということが一般的でしたが、現在は、子どもと同居の人は年々少なくなり、高齢者だけで住んでいる世帯が増えています。

そのため、介護が必要となった時や、生活上の不安が出てきた時のために、高齢者が安心して生活できる住宅の確保が急務となってきました。

そこで国は、平成二十三年、高齢者の居住の安定確保に関する法律、「高齢者住まい法」を改正し、高齢者住宅の確保、整備を推し進めることにしたのです。

その結果、住宅の選択肢も、以前なら、特別養護老人ホーム(略して「特養」)か、通常の老人ホームくらいしかありませんでしたが、今は、民間、公的施設、介護付き、自立した生活が可能な人向けなど、さまざまなタイプができています。

共同生活に付きものの、ストレス、困り事には、どう対処したらいいのか

しかしその一方で、質問者が心配しておられるように、共同生活に付きもののストレスや困り事も、ないわけではありません。

入居者同士のトラブルとしては、次のようなものが考えられます。

  • 騒音や声に関するトラブル
  • 金品に関するトラブル
  • 相性の問題

以上のようなことですが、対処のしかたは施設側、スタッフの対応によっても随分変わってきます。

納得いかない場合は、施設長に相談したり、あるいは、契約時の書類に、「苦情相談窓口」として記載のある、行政の担当課(介護保険課など)に相談することも可能です。

(中略)

不安なこともあると思いますが、高齢者の住まいの問題は、これからの日本で避けては通れない課題で、年々整備が進められています。

「自分さえ我慢すれば」と思わずに、もしトラブルが起きたらぜひ早めに、信頼できる人に相談されれば、解決できることもたくさんあると思います。

何より、今まで世のため人のために尽くしてこられたわけですから、生涯、安心して幸せに暮らす権利がどんな人にもあります。ぜひこれからも幸せなシニアライフを送っていただきたいと思います。

(『月刊なぜ生きる』令和2年9月号より)

本誌ではユーモアあふれるシルバー川柳もご紹介。

全文をお読みになりたい方は、『月刊なぜ生きる』9月号をごらんください。


今回ご紹介したコーナー:明橋大二先生のハッピーアドバイス

著書シリーズ累計500万部突破・テレビやラジオに出演している著名な心療内科医・明橋大二先生がシニアの悩み、家族や職場での心配事などの相談に答えてくださる、人気のコーナーです。