【2月号 巻頭インタビュー】音楽があると、見える景色が広がっていく
大ヒット映画
「なぜ生きる」
「歎異抄をひらく」の
メッセージを音楽で表した
作曲家・編曲家
長谷部徹さん
ー音楽があると、
見える景色が広がっていく
29週連続上映の『なぜ生きる』と
35週連続上映の『歎異抄をひらく』の
音楽を担当した長谷部徹さんは、
映画「20世紀少年」や
数々のドラマ音楽を手がけた、
第一線で活躍されている作曲家です。
数々の楽曲を世に生み出しながら、
意外にも音楽大学を出ていないという
長谷部さん。
どのようにして、今の作編曲家の道に
たどり着いたのでしょうか?
◆◇◆◇◆◇
ー「長谷部さんは異色な経歴の作編曲家だ」
と、追分プロデューサーから聞きました。
長谷部)私は、音楽大学を出ていないからでしょうね。
ー長谷部さんは一橋大学の経済学部
を卒業、東京大学の大学院医学系研究科
(精神衛生学教室)へ進学されたのですね。
なぜ経済学から医学へ転向されたのですか。
——————————-
青春時代
「人間とは何か」を探求
——————————-
長谷部)「人間とは何か」を追求したかったのです。
これが、私の青春時代のテーマでした。
一橋大学では、最初は近代経済学を勉強しました。
ノーベル経済学賞を受賞した
サミュエルソンの本を、
結構まじめに読んでいたんですよ。
2年生でマルクス主義経済学を学びました。
人間が生きにくいならば
社会をなんとかしようとする考えですね。
3年生になって、社会心理学とか
フロイトの心理学の本を読んで、
腑に落ちたというか、
おもしろいと思いました。
フロイトは、人間の持っている力で
病気を治す考えです。
ある日、フロイトとマルクスには、
通じるものがあると思い至ったのです。
“精神療法の実際を知らないと
フロイトについて偉そうなことを語れない”
と思い、大学院に進みました。
ー全く違った分野への転向だと思っていました。
長谷部)そうではありません。
テーマは、つながっているのです。
しかし大学院は、実習があったり、
精神科の病院への勤務があったり……、
案外と制約が多く、思っていたほど
勉強ができませんでした。
修士課程を2年で修了し、
次に博士課程を目指しましたが、
入れませんでした。
当時、私を担当してくれていた教授は、
「甘えの構造」で有名な土居健郎さんでした。
土居さんが心配して、
「君のような研究がしたかったら、
アメリカの大学へ留学しなさい。
UCLAの文化人類学者、
W教授のもとで勉強したらいいよ」
と薦めてくれたのです。
でも、アメリカの大学から
入学に必要な書類を取り寄せ、
いろいろ準備しているうちに、
「そこまでして、
本当に、何か得られるだろうか」
と、疑問が出てきたのです。
「人間とは何か」
この大きなテーマに向かって、
燃えて探求した青春時代でしたが、
ふと、以前から好きだった
音楽を勉強したくなり、博士課程へ進まず、
ジャズ学校のエレキベース科に入りました。
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好きなことに打ち込む
すると、道が開けていく
——————————-
(・・・本誌につづく)
「好きなことをやるのが
一番いいと思います。
好きなことに打ち込んでいけば、
すべてがつながっていきますね」
と語る長谷部さん。
肩書にとらわれず、
夢に向かって打ち込む姿勢は
AIが発達していく今日の社会に
大切な心がけと感じました(*’▽’)
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