アンパンマンは作者・やなせたかしさんの戦争体験から生まれた?

子どもから大人まで広く愛される「アンパンマン」
このアンパンマンが生まれた背景には、作者・やなせたかしさんの悲しい戦争体験がありました。

『月刊なぜ生きる』の巻頭インタビューでは、やなせさんと生前親交の深かったマンガ評論家の中野晴行さんからお話しを伺います。

第二次世界大戦の終結から75周年を迎え、子どもたちと「平和」について考えるきっかけにもなると思います。

──アンパンマンも戦争の体験から生まれたのでしょうか。

アンパンマンのキャラクターが持つ深い意味が分かったのは、「戦争というのは腹が減って大変なんだ」というお話を聞いた時です。

やなせさんは中国の上海郊外で敗戦を迎えますが、「戦争はとにかく腹が減る。人間いちばんつらいのはおなかが減っていることなんだ」と言うのです。

当時は、水みたいなおかゆやタンポポなんかを食べていたそうです。

「人間、飢えてくると、人を裏切ってでも何とか食べようとする。考えもおかしくなってくる」と言うのです。

だから、おなかの減っている人を助けるヒーローが必要だと思いつくのですね。
悪者を倒して去っていくだけのヒーローではおなかは膨れませんから。

分け与えることで
      飢えはなくせる

──それで、空腹で困っている人たちに、アンパンでできた自分の顔を食べさせるヒーローが生まれたのですね。

やなせさんは「僕がアンパンマンの中で、描こうとしたのは、分け与えることで飢えはなくせるということです」と言われていました。

最初は、アンパンを配って回る変なオジサンのキャラクターでしたが、それではダメで、やはり自分の顔を食べてもらう今のアンパンマンが生まれました。

身を削けずって人を助けるには、痛みが伴いますから、歌の中にも「たとえ胸
の傷がいたんでも」とあるのですね。

──やなせさんは晩年、「このところ世の中全体が、嫌なものはみんなやっつけてしまおう、というおかしな風潮になっている」とも指摘されていました。

自分が正義だといって、嫌なものはどんどん排斥していく。

行きつく先が戦争です。

こんな考えに子供たちが巻き込まれるのがかわいそうだという思いが強かったと思います。

戦争中は「鬼畜米英」と言った人が、負けたら「進駐軍万歳」に変わってしまう。

そんな光景を見ながら、やなせさんは「正義って何だろう?」と考えるのです。
そして、本当の正義とは、「オレが正義だ」と威張ばることでなく、自分を犠牲にしてでも、みんなを食べさせて笑顔にしてあげることだって言うのですね。

(・・・本誌につづく)

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