【2月号 試し読み】歎異抄の旅―小野小町と9歳で出家された親鸞聖人
美しい写真とともに、親鸞聖人(しんらんしょうにん)ゆかりの旧跡をたどる新コーナー。
ひとたびページをめくると、まるで本当にその場所を旅しているような気分になります。
京都の青蓮院から、
旧奈良街道を法界寺へ向かう
レポーター 木村耕一
( …前号のふり返り )
「花のいろは
うつりにけりな
いたずらに
わが身世にふる
ながめせしまに」
(美しかった花の色も、
すっかり衰えてしまったな。
私も、むなしく年をとってしまいました)
ー平安時代の歌人・小野小町
美しい花が、日ごとに色あせていくように
人間も、一年一年、老いを重ねていきます。
その厳粛な事実を、美しく歌ったものです。
この歌のテーマである
「老い」と「無常」は、小町だけでなく、
全ての人が、やがて直面する、
悲しき現実なのです。
◆◇◆◇◆◇
「なぜ、小野小町が出てくるの?」
「『歎異抄(たんにしょう)』と関係ないじゃないか」
と、思われるかもしれません。
それは、親鸞聖人(しんらんしょうにん)
が9歳で出家された
動機を知る手がかりになるからです。
青蓮院(京都市東山区)の庭園には、
「明日ありと
思う心のあだ桜
夜半に嵐の吹かぬものかは」
と刻まれた歌碑(かひ)があります。
わずか9歳の親鸞聖人が詠まれた歌です。
「明日まで自分の命がある保証はない」
と無常を見つめ、
仏門に入る決意を示された歌でした。
歌の意味を解くため、親鸞聖人ご生誕の地
日野(京都市伏見区)へ向かいます。
地下鉄東西線の小野駅で降り、
旧奈良街道を南へ歩くと、
小野小町ゆかりの随心院が見えてきました。
小町は平安時代の女流歌人です。
——————————-
小野小町に恋した深草少将
——————————-
美人と評判の小町に、
プロポーズする男性が多くありました。
中でも有名なのが深草少将です。
少将は熱烈な恋文を送ります。
小町にとっては、男性からの一方的な
申し出は迷惑だったに違いありません。
しかし、ハッキリ断るのではなく、
「私の住まいを百夜(ももよ)
訪ねてくださったら、
お心に従いましょう」
と伝えます。
少将は、大喜びです。
「あなたと結婚するためならば、
何日でも通います」
彼は、雨の日も、風の日も、雪の日も、
夜になると自宅から約5キロの道を歩いて
小町の屋敷へ通い始めたのです。
しかし、百回になるまで小町は会ってくれません。
それでも少将は、訪問したあかしに、
毎晩、カヤの実を一つずつ、
門前に置いていきました。
苦労して通えば通うほど、
小町を恋い焦がれる思いは、
激情となって高まっていきます。
そして九十九日めの夜。
都は深い雪に覆われていました。
「あと二回で、願いがかなう」
と、心が弾む少将にとって、
大雪など物の数ではありません。
(・・・本誌につづく)
深草少将の恋のゆくえは…?
なぜ親鸞聖人は9歳で出家されたのか…?
気になる方は本誌を
チェックしてみてくださいね(^^)♪
『月刊なぜ生きる』
バックナンバー
『月刊なぜ生きる』のバックナンバーをご希望の方は、恐れ入りますが、お電話にてお問い合わせください。
注文受付センター0120-975-732(平日:午前9時〜午後6時、土曜:午前9時~12時)
お問い合わせフォーム 販売元「思いやりブックス」リニューアル案内
『月刊なぜ生きる』は令和6年4月号から『月刊 人生の目的』として新たにスタートいたしました。
引き続き掲載するコーナーもあります。
詳しくは、『月刊 人生の目的』サイトをごらんください。
https://value-of-life.com/