【試し読み】コロナのストレスに向き合う3つのポイント

45歳・女性

新型コロナウイルス感染症の影響で、自粛生活を強いられ、家族もお互いストレスを抱えているように思います。子どもの心への影響も心配です。どのような心掛がけでいればいいでしょうか?

明橋大二先生

コロナのストレスに向き合う3つのポイントを提案します

①「コロナに勝とう」と思わない

よく、「コロナに負けるな!」「コロナに勝とう!」というスローガンを目にします。弱気になりがちな自分を鼓舞しようとする気持ちは分かります。

(中略)

しかし、ウイルスに対して、今のところ私たちは無力です。特効薬は少なくとも現時点ではありません。しかしパンデミックはいつか必ず終息します。

私たちに今できるのは、極力、感染リスクを避けて生活すること。そしてワクチンができたら、接種することくらいではないでしょうか。しかし新型コロナウイルスもいつか終息します。それまで、とにかく、待つ、ということだと思います。

②悪いのは、人ではなく、ウイルスです

新型コロナの流行初期には、「誰がコロナウイルスを持ち込んだか」、犯人探しが行われ、ネットで実名や自宅の住所がさらされたり、心ない誹謗中傷が飛び交かったりしました。自粛生活が呼びかけられた時には、「自粛警察」なるものが現れ、感染対策を怠っている人が、ほとんど犯罪者扱いされることもありました。

(中略)

人の中に加害者と被害者がいるのではなく、すべての人が被害者なのです。被害者同士で、お互いを責め合っていては、さらに傷を深めてしまいます。みんな困難な中、頑張って耐えているのです。

③ランキング(比較、順位)よりリンキング(絆、つながり)

今までの人と人との関係では、私たちはつい、比較したり、順位をつけたりしがちでした。親は、わが子と他の家の子を比較して、「うちの子はどうして……」とダメ出しをしますし、学校でも、成績別にクラスが分けられたり、会社に入っても、成績表が張り出されたり、業績優秀な企業のランキングが発表されたりしてきました。

しかしこれからは、多様性が重んじられる時代です。多様な価値、多様な生き方、多様な働き方、多様な学び、多様な人種……。違っていることが価値だし、そこに順位をつけることは無意味です。コロナ禍によって、はからずもそれが一層推し進められたと思います。

ただ多様性だけでは、人はバラバラになってしまいます。その時に必要なのは、リンキング(リンクとは、絆、つながり)、つまり人とつながることです

コロナ禍によって、人と人とが分断されたからこそ、逆につながりの大切さが意識されたのではないでしょうか。それこそ情報技術の発展によって、人と人をつなぐ工夫がさまざまに凝らされました。オンライン会議、オンライン飲み会、オンライン授業……。病院では、コロナ対策のため面会が厳しく制限された代わりに、タブレットを使ったオンライン面会が取り入れられ、逆に、遠くの知人と会話することもできるようになりました。冠婚葬祭も近親者のみ、となった代わりに、オンライン参列、というのも実現しました。

絆、というと、「太い絆」といわれるように、ちょっとやそっとでは切れないもののように思いがちですが、実際の人間関係は、ちょっとした言葉の言い間違いで簡単に切れてしまいます。だからこそ、つながりを維持するためには、お互いの努力が必要だし、工夫が必要なのだと思います。

今年の冬、私の住む富山県は、数十年ぶりの大雪で、道路のあちこちで車のタイヤが雪にはまり、動けなくなりました。すると、周りのみんなが駆け寄って、スコップで雪を掘ったり、車を押したりして、皆で力を合わせる光景が、町中至る所で見られました。お礼を言うと、「お互い様やちゃ」「なーん気にしられんな」と皆が言われるのです。空気は凍てつくように冷たかったですが、心はぽかぽかと本当に温まる思いがしました。

新型コロナウイルスという、人類史に残る大変な困難に出合ったからこそ、私たちは本当に大切なものは何か、改めて考えるきっかけを得たのではないかと思います。どうか、くれぐれもお体を大切に、お互いこの難局を乗り越えていきたいと思います。

(『月刊なぜ生きる』令和3年4号より一部抜粋・編集)

コロナの影響はしばらく続きそうですが、全国各地でワクチン接種も始まりました。困難をともに乗り越えて、人と人とのつながりをいっそう深めていきたいものですね。

試し読みでは紹介しきれなかった記事もあります。全文がお読みになりたい方は本誌をごらんください。

『月刊なぜ生きる』令和3年4月号
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