【試し読み】「天上天下唯我独尊」の正しい意味は?|仏教は、生きるための哲学なんです
お釈迦さまが説かれた仏教の、基礎がわかる新連載が『月刊なぜ生きる』令和3年4月号よりスタートします!
仏教を説かれたお釈迦さまの元の名はゴータマ・シッダールタといわれます。ゴータマが姓、シッダールタが名です。このゴータマ・シッダールタが、後に覚りを開いて、釈迦牟尼仏と呼ばれるようになったのです。
ゴータマ・シッダールタは紀元前560年頃(紀元前460年頃という説も有力)、北インドに生まれた方です。当時、インドとネパールの国境付近に、カピラバストゥ(迦毘羅衛城)という都市がありました。その統治者であった釈迦族・浄飯王の、太子として生を受けています。母親の名を、マーヤー夫人といいました。
シッダールタを身ごもったマーヤー夫人は、故郷で出産する習慣に従い、隣のコーリヤ国に向かいます。途中、ルンビニー園という所に差しかかった時に、シッダールタが生まれました。
伝説によれば、誕生するなり右手で天を指し、「天上天下唯我独尊」と宣言されています。もちろん、生まれたばかりで、こんな難しい言葉を発するはずがありません。これは、仏教が何を説かれたものか、その目的を表すエピソードです。
「天上天下唯我独尊」──「天の上にも天の下にも、唯、我ひとり尊し」と読みます。これは釈迦が、この世で偉いのは自分独りだと胸を張った言葉だと誤解されていますが、そうではありません。
ここで「我」と言われているのは、釈迦だけでなく、すべての人間のことです。私たち人間だけが、ただ一つの尊い目的を持って生まれてきたのです。犬や猫に生まれていたら果たすことのできない、人として生まれなければ成し遂げることのできない、崇高な目的がある。その大切な目的を果たすために、生まれ難い人間に生まれてきたのだと、教えられているのです。
私たちは、何のために生まれてきたのでしょうか。どんなに苦しくても、なぜ自殺してはいけないのでしょうか。その答えを教えられたのが、仏法なのです。
(『月刊なぜ生きる』令和3年4月号より一部抜粋)
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