「どう生きる」に戸惑う時 「なぜ生きる」の 言葉が浮かぶ |巻頭インタビュー

「ちびまる子ちゃん」などの人気アニメや、最近では映画「なぜ生きる~蓮如上人と吉崎炎上」も手掛けた、音響監督の本田保則さん。「今、いちばん好きな言葉は『なぜ生きる』です」と言われる、その思いを語っていただきました。


──「なぜ生きる」と「どう生きる」をどのように考えておられますか。


 人生を振り返ると、毎日毎日、「どう生きる」で悪戦苦闘してきたと思いますね。「どう生きる」を目的のように錯覚して、「やったあ! これで達成した」と思うこともありますが、それはいつも虹のように消えていってしまいます。

 そんな戸惑いの時、今では、ふっと心の中に、「なぜ生きる」という言葉が浮かんでくるのです。重い言葉ですが、なぜかこの言葉を考えていると、気持ちが楽になるのですね。

 悪戦苦闘の毎日でも、この言葉を静かに心の中に持ち続けていることが大事です。たとえその答えはすぐにはっきりしなくても、誰もが常に触れていなければならない問いかけでしょう。自分自身の歩く方角が、目的地に向かっているかどうか、確認させられる「哲学」にも思えます。だから、ありがたいことだなと思います。


人間、生まれたら、必ず死んでいきます。若い時は、「どう生きる」だけでいいや、と思いがちですが、どんな人も例外なく、「なぜ生きる」が、問題になることがあります。だから「どう生きる」と「なぜ生きる」は、どちらかというのではなく、両方の世界がちゃんとなければならない。「どう生きる」が暴れ狂う大河だとしたら、「なぜ生きる」は、伏流水のようにたゆまなく人生の根底を流れているもののようにも思えます。だから、いちばん好きな言葉、なのです。

(『月刊なぜ生きる』令和2年9月号より一部抜粋)



アニメ映画「なぜ生きる~蓮如上人と吉崎炎上」へのオファーを受けた当初は、「『なぜ生きる』と『どう生きる』は大して変わらないと思っていた」と語る本田さん。

ところが、制作に当たると、全く違うものとして見えてきたそうです。

本誌では、映画制作を通して本田さんが感じられた「なぜ生きる」について語って頂きました。