世界陸上400メートルハードル銅メダリスト 為末大さん

世界陸上の400メートル・ハードルで2度の銅メダルを獲得、そこで生まれた日本記録は今も破られていない。

引退後もスポーツに関するビジネスや研究、出版活動で活躍を続ける。

「人生はマラソンというより、短距離に似ている」と語る”走る哲学者”は今、人生のハードルの向こうにどんな「夢」を追い求めているのだろうか。


──選手としての引退から8年になります。お父様の言葉を振り返ってどんな影響があったと思われますか。

人生を終える時、人間はやっぱり、やりたいと思ったことをやりたいって思うんだなということが、すごくインパクトのあることでした。

何か快楽的なことに走るという意味ではなく、もう少し深いところで、人生で何をやるべきなのか、人生を何に使うべきか、ということですね。

そこを本気で追求しないと、人生が分からなくなってしまうという感じです。


しかも時間は限られている。

それまでは人生をマラソンのように見て、70から90歳の間あたりがゴールかと思っていたのが、父の死で知らされたのは、いつゴールするか分からないということでした。

そうなるとライフプランが全部引っ繰り返る。

人生はマラソンというより短距離走に近い。

食事でも、好きな物は最後に取っておくタイプでしたが、どんどん好きな物から食べていかないと、ディナーの時間がいつ終わってしまうか分からないのです。

(『月刊なぜ生きる』令和3年1月号より一部抜粋)