「限界のふたをはずそう」
人生には限りがあるからあえて高いハードルに
パラリンピック4大会出場のアスリート
(トライアスロン、走り幅跳び)
谷 真海(たに まみ)さん
東京五輪・パラリンピック(2021年)の招致に大きく貢献したのが、国際オリンピック委員会(IOC)総会における谷真海さん(旧姓・佐藤)の名スピーチだった。そして本番の東京大会では選手団の旗手を務め、女子トライアスロンへの出場を果たす。今や、パラアスリートの「顔」としてスポーツ番組でも活躍する一方、二児のママアスリートとして再びトライアスロンの練習にも乗り出した。「限界のふたをはずそう」と、さわやかな笑顔でチャレンジを続ける力はいったいどこから生まれてくるのだろうか。
メダル以上の宝物をもらった
「立ち止まりそうになるくらい苦しいレースでした。でも沿道の皆さんがずっと応援してくれて、それが本当に力になりました」──。そう振り返るのは、2021年8月29日、東京パラリンピックのトライアスロン女子。東京・お台場海浜公園をメーン会場とするレースは猛暑の中、苦戦を強いられる展開となった。
水泳(750メートル)は5位につけたものの、自転車(20キロ)、ランニング(5キロ)では次第に遅れる。ゴール目前のブルーカーペットでは、出場10人中最後の順位になっていたが、手を振って声援にこたえ、この日の青空のような笑顔で、フィニッシュゲートをくぐり抜けた。
1時間22分23秒──。報道関係者には「メダルには縁のないパラリンピックでしたが、自分の中では、メダル以上の宝物をもらったと思っています」と、4度の大会に挑戦してきた足跡をさわやかに振り返った。
(『月刊なぜ生きる』令和5年12月号より)
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『月刊なぜ生きる』令和5年12月号
価格 600円(税込)