命の尊厳を見つめる心に国境はない “本の交流”が共感を育む

「命の尊厳を見つめる心に国境はありません」──。こんな思いを胸に、翻訳出版に関わってきた日本と韓国の本のタイトルは約700種類に上る。近年の韓国文学ブームの火付け役もまたこの人である。最近は、地球を覆うコロナ禍をテーマにした、世界の詩人による「詩集」も出版するなど新たな挑戦も展開する。そのエネルギッシュな活動の原点はどこにあるのだろうか。本の街、東京・神田神保町にあるおしゃれなブックカフェ「チェッコリ」の経営者、金承福(キム・スンボク)さんに、海を越えた本の交流に懸ける思いを聞いた。

「チェッコリ」は恩師に感謝するパーティー

ブックカフェ「チェッコリ」は、大小の書店が軒を連ねる神田神保町の表通りに面したビルの3階にあった。20坪ほどの細長い店内には、韓国の伝統茶を味わえるテーブルがあり、それを囲むように韓国関連の本約4,000冊が心地よさそうに並んでいる。6年前の開店以来、年々、お客さんは増えているという。

早速、「チェッコリ」という店名の意味をキムさんに聞いた。「昔の韓国にも寺子屋があって、子供たちに文字や論語などを教えるのですが、本を1冊学び終えると、先生に感謝して親や子供たちが打ち上げパーティーを開きます。これがチェッコリですね。このお店も、本を中心にみんなが集まって楽しめる場所にしたかったのです」と言う。

読書会などのイベントは年に100回以上開く。「皆さんが知りたいだろうなって思うことをどんどんイベントにします」。韓国ドラマ「愛の不時着」が人気になると、テレビに出る北朝鮮料理を紹介したり、アカデミー賞を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」を見た人たちで作品を語り合う場を設けたり、タイムリーな企画のほとんどが“満員御礼”。読書会で選んだ作品の舞台を訪ねる「文学の旅」も好評で、最近の日韓関係の冷え込みをよそに、店内には熱気があふれている。

(『月刊なぜ生きる』令和3年2月号より一部抜粋)

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価格:1冊 600円(税込)