【試し読み】健康カラオケで、老化を吹き飛ばせ! |日本音楽健康協会・理事長 戸塚圭介さん
「楽しみながら、健康になる方法があります」
「知らないうちに、元気になっていくのです……」
思わず、耳を疑うような、いい話を聞きました。今回のゲストは、一般社団法人日本音楽健康協会の理事長・戸塚圭介さんです。
「○○健康講座」と名がつくと、ちょっと構えてしまう人が多いのでは?しかし、戸塚理事長が提唱するのは「うたと音楽」。身近なレジャーを楽しむままが、人生を変えるほどの効果を発揮するのです。
特に高齢者の介護予防と、心と体の健康増進への期待が高まり、国や自治体から注目を集めています。カラオケと健康の関係をお聞きしました。
本題に入る前に、「歌が苦手な人にも、この健康法は、当てはまるのか?」と疑問がわいてきました。
東京・神田の、山の上ホテルに来てくださった戸塚理事長に、さっそく質問!
山崎 私は、音楽を聴くのは好きですが、歌うのは苦手なんです。かつて、バス旅行の時に、車内で順に歌うことになり、マイクが回ってくると、とても嫌な思いをしました。こんなタイプでも、歌うと健康になるのですか?
戸塚 私も、こういう仕事をしているのに、人前で歌うのは嫌でした。
山崎 えっ、理事長もですか。
戸塚 サラリーマンの宿命として、マイクが回ってくると歌いましたが……(笑)
でも、歌ったほうが体にいいんですよ。
それを裏づける研究結果を紹介しましょう。
歌を歌う前と後で、唾液に含まれるストレスホルモン(コルチゾール)の量が、どのように変化するか調べてみました。すると、歌を歌ったあとは、皆、ストレスホルモンが減少したのです。
学会で発表すると、「それは、歌が好きな人たちを対象に実験をしたからだ。歌の嫌いな人だったら、ストレスホルモンが減少するはずがない」と指摘されました。
そこで今度は、歌が嫌いな人を対象に、同じ実験をしてみたところ、全く同じ結果が出たのです。
つまり、「好き」「嫌い」にかかわらず、歌を歌うと、ストレスホルモンが減少することが証明されたのです。
ストレスは、病気の原因になります。この研究結果を見るだけでも、歌うことが健康にいいことが分かると思います。
孤独に陥り
閉じこもる高齢者が多い
山崎 日本音楽健康協会は、「うたと音楽」を、どのように役立てようとしているのですか。
戸塚 日本は、超高齢社会を迎えています。いかにして、高齢者の心と体の健康を維持していくか、介護が必要になる状態を予防するかは、今後、ますます重大な問題になっていくでしょう。
私たちは、社会が直面している切実な課題に、「うたと音楽」の力で貢献したいと思っています。
歌うことの健康効果の研究と、それを正しい方法で、楽しく伝える指導者の育成を目指しているのです。
山崎 介護予防や、心と体の健康を守るには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
戸塚 高齢者の皆さんの、社会参加を促すことが重要だと強く感じています。
サラリーマンは定年退職すると、その後は、孤独に陥り、閉じこもってしまう人が多いのです。
まだ女性は、家から外へ出ようとします。
しかし男性の多くは出てこなくなります。そうすると、一気に老け込んでしまいます。体を動かさないので健康を害したり、認知症が進んだりしてしまうのです。
国や地方自治体は、健康づくりのために、公民館やコミュニティセンターで、さまざまな企画を考えていますが、実際に出てくる人は、高齢者人口の約5.7パーセントしかいないといわれています。
山崎 では、日本音楽健康協会は、どのようにして社会参加を促しているのですか。
戸塚 カラオケ白書によるとカラオケの参加人口は4,700万人と、多くの国民が楽しんでいるレジャーです。散歩よりも多いのです。
「うたと音楽」が持つ力を研究してきた私たちは、最も身近なレジャーを健康に役立て、高齢者の社会参加を促す仕組みをつくりました。それが、「健康カラオケ」です。
カラオケは、楽しいから継続できます。しかも、歌うだけで、知らないうちに健康になっていくのが、大きな魅力ですね。
(『月刊なぜ生きる』令和3年11月号より)
本誌では続けて、認知症・生活習慣の予防など、カラオケの驚くべき健康効果を紹介しています。
全文をお読みになりたい方は『月刊なぜ生きる』令和3年11月号をごらんください。
『月刊なぜ生きる』令和3年11月号
価格 600円(税込)