ミサイルが飛ぶ空の下で
ウクライナの「心」にレンズを向ける

ロシアの侵攻を受けるウクライナで、現地の人たちと生活をともにしながら写真を撮り続けるフォトジャーナリスト、佐々木康さん。多くの人命が次々に失われていく混乱の中で、そのレンズは静かに、兵士や市民一人一人の心の中に向けられる。ある日突然、日常の暮らしを奪われたウクライナの人たちは今、何を思い、何を願うのか。「同じ空の下で起きている現実を身近に感じてほしい」と言う佐々木さんに、オンラインで話を聞いた。

爆発音の響く街で

最初に話をした今年7月、佐々木さんはウクライナ南部の都市、ミコライウの地下にある核シェルターにいた。旧ソ連時代に作られたこの施設の中では、ボランティアの市民たちが作業をしている。ドローンから落とす爆弾の部品を、自分たちの3Dプリンターで作っているのだという。

「街で見かけるふつうのおじさんたちが、兵士に渡す武器の部品などを当たり前のように作っているんです。市民一人一人が国を守ろうという強い気持ちを持っているのを感じます」と佐々木さんは言う。

ミコライウは、かつて軍艦を造る旧ソ連の造船所があった港湾都市。現在は、男性たちが戦地に動員され、街を歩いても女性や子どもの姿が圧倒的に多いという。7月下旬、この街にロシア軍のミサイルが飛んできた。

「午前3時頃、ウクライナの友人が『爆発音が近かったみたいだけど、だいじょうぶか?』とSNSで聞いてきたので、『そちらは?』と聞き返すと、『娘たちが脅えている』という返信が来ました」。市の中心部付近で火の手が上がり、死傷者も出たという。

「でも朝になって街に出ると、ふつうにお店は開いているし、子どもたちも公園で遊んでいる。ふだんどおりの一日の始まりです。みんな不安や疲れはあるけれど、壊されても、片付けて直して、淡々と日々を送っています。根拠はなさそうだけれど、明日を信じて生きている。こんな姿を見ていると、ウクライナの人たちはきっと、この戦いに負けることはないって感じるんですね」

(『月刊なぜ生きる』令和5年10月号より)

続きは本誌をごらんください。

『月刊なぜ生きる』令和5年10月号
価格 600円(税込)