憎しみの連鎖が、「戦争」を生み出す
難民キャンプや孤児を訪ね
心をつなぐ支援を続ける

俳優、タレント
サヘル・ローズさん

テレビや映画などで活躍するイラン出身のサヘル・ローズさんは芸能活動のかたわら、戦争や貧困に苦しむ難民や孤児たちへの支援を地道に続けている。最近も、ウクライナの難民の人たちが暮らす国々を訪ねるなど、支援活動は10年以上に及ぶ。苦境にある人たちの元へと、何が彼女の足を向けさせるのか。「彼らの姿は、孤児だったかつての私自身の姿と重なるのです」と言うサヘルさんに聞いた。

「忘れずに来てくれてありがとう」

サヘルさんは、イランにいた当時、日本のテレビドラマ「おしん」が好きで、女優になりたいという夢を持っていたという。今では、フジテレビ「めざまし8」などに出演、明るい笑顔と、感性豊かな切れのいいコメントで人気を集めている。そんなサヘルさんが、ロシアの侵攻で難民となったウクライナの人たちが暮らすポーランド、スロバキア、オーストリアの三カ国を訪ねたのは2022年のこと。

どの国でも日本からの訪問を喜んでくれ、難民生活の現状を話してくれたという。その中でも特に印象に残ったのは次のような言葉だった。「初めの頃はたくさんのメディアが来ていたが、今ではもうほとんど来ることはない。そんな中、日本の人たちの思いをわざわざ届けに来てくれたことがうれしい。本当にありがとう」──。

サヘルさんが届けたのは出発前、長年、交流のある群馬県のインテリアショップの協力で開催したチャリティトークイベントで集まった寄付と、参加した日本の人たちの笑顔などを撮影した写真だった。「ウクライナの皆さん、申し訳ないほど涙を流して頭を下げてくれるのです。支援を送る人たちの心と現地の人たちの心がつながることが大事なのだと思います」

(『月刊なぜ生きる』令和6年1月号より)

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『月刊なぜ生きる』令和6年1月号
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