Q息子を亡くしてショックが大きい友人に、どう接したらいいでしょうか

70代・女性

息子を病気で亡くした70代の友人がいます。ショックが大きいと思いますので、そっとしておいたほうがよいかもしれませんが、友人は独り暮らしで、何もしないのも心配です。かといって、顔を合わせても何と声をかければよいか分からず、悩んでいます。どのように接するのがよいでしょうか。

明橋大二先生

心のケアのために大切なこと
「悲しむべきことを、きちんと悲しむ」

家族と死別する悲しみは、人生最大の悲しみの一つといってもよいと思います。ましてや、自分の子どもに先立たれた親の悲しみは、到底言葉で言い尽くせるものではありません。

中には、跡を追って死ぬことを考えたり、うつ状態に陥ったりする人もあり、私の外来にも、身内の死をきっかけに、受診するようになった人が多くあります。

よく、身内と死別して落ち込んでいる人に、周囲が励ましのつもりで「いつまでもくよくよしていないで」とか、「そろそろ気持ちを切り替えたら」「前を向いて進まなきゃ。亡くなった家族も心配しているよ」と言うことがありますが、そんなに簡単に切り替えられるものでは、決してないと私は思います。

家族を失った心の傷は深く、そこから立ち直るのに、5年、10年と時間を要する人もあります。

むしろ、周囲からそのように言われることで、さらに本人は「切り替えられない自分がダメなんだ」と、よけい自分を責めてしまうでしょう。

また、「記念日現象」といって、家族が亡くなった日が近づくと、体調が悪くなったり、急にゆううつな気分や悲しみに襲われたりすることもあります(「記念日」という言葉は、本来おめでたい時に使うので、あまり適切な言葉だとは思いませんが……)。

私の知っている、ある東北出身の人は、急に体調が悪くなって、風邪でもないのにおかしいなと思っていたら、3月11日の前日だった、ということもありました。その人は、東日本大震災の被災者だったのです。

家族が亡くなるというような、悲しい出来事があった時、その心のケアのために大切なことがあります。それは、「悲しむべきことをきちんと悲しむ」ということです。これを、精神分析を創始したフロイトは、「喪の仕事」と名づけました。

悲しむべきことをしっかり悲しまないで、他のことで無理やり紛らわせたり、心にふたをして麻痺した状態で過ごしたりしてしまうと、それが身体の不調という形で出てきたり、何かイライラする、という形で出てきたりすることがあります。

(『月刊なぜ生きる』令和5年2月号より)

続きは本誌をごらんください。

『月刊なぜ生きる』令和5年2月号
価格 600円(税込)