Q「自分なんて、いなくなっても……」
自分を否定することばかり言う知人に、どう接すれば?
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知人に、「自分なんて何の役にも立たない」「いなくなっても誰も悲しまない」と自分を否定するようなことばかり言う人がいます。「そんなことないよ」「考えすぎだよ」と伝えても、全然聞く耳を持ってくれません。こういう人に、どう接したらよいのでしょうか?
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「自信」にも2とおりあります
おっしゃるように、自分のことを否定してばかり、という人があります。心療内科に来られる方の中にも、同じような気持ちを抱えている方は少なくありません。
そういう人たちのことを、私たちは、「自分に自信を持てない人」と考えて、「もっと自信を持って」とか、「あなたも、こんなことができるじゃないの」と、相手の長所や能力を挙げて、自信を持ってもらおうとします。しかし、そういう関わり方では、なかなかこのような人たちに自信を持ってもらうことはできません。
それは、この人たちの言っている「自信」と、私たちがふだん考える「自信」とでは、全く違うレベルのものだからです。
私たちがふだん使う「自信」という言葉は、勉強ができるとか、スポーツができるとか、いわゆる「能力」についての自信のことです。「この人には、こんな長所がある」と言う時の長所も、やはり、こんな能力がある、という意味での長所だと思います。
しかし、この人たちが悩んでいるのは、もっと深いレベルでの自信、「自分は生きている価値がある」という意味での自信です。私はこれを、「存在」への自信、と言っています。自分の存在に意味がある、自分は生きている価値のある存在だ、という意味での自信です。
能力への自信は、自分の能力を高めることによって、獲得することができます。勉強を頑張る、スポーツで相手に勝つ、優れた技術を身につける、など、練習や努力によって、習得することができます。
しかし存在への自信を身につけるには、他者の存在を必要とします。それも家族など、ごくごく身近な人の存在です。
以前のコマーシャルで、「命は大切だ。命を大切に。そんなこと、何千何万回言われるより、『あなたが大切だ』、誰かがそう言ってくれたら、それだけで、生きていける」というせりふがありました(公共広告機構)。
「命は大切だ」という言葉を何万回聞かされるより、「あなたが大切だ」と言ってくれる人の存在が、何より人の心の支えになるのだ、ということだと思います。
(『月刊なぜ生きる』令和5年3月号より)
続きは本誌をごらんください。
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『月刊なぜ生きる』令和5年3月号
価格 600円(税込)