常に前に出る!相撲も人生も同じ
目標がハッキリしていると、努力するのが楽しくなる

武蔵川 光偉さん
第67代横綱 武蔵丸

本誌で「サンプレイの生涯元気塾」を連載中の、宮畑豊さんに、大相撲の武蔵川親方を紹介していただきました。元横綱・武蔵丸光洋(むさしまるこうよう)さんです。

武蔵丸さんは18歳の時にアメリカのハワイから来日し、大相撲の世界へ。師匠(元横綱・三重ノ海)から厳しい指導を受けながら、宮畑さんが運営するトレーニングセンター・サンプレイでも体を鍛えていたそうです。関取になってからの十数年間、本場所で一度も負け越したことがありません(五十五場所連続勝ち越し。歴代一位)。幕内優勝は12回。華々しい記録を残して引退し、現在は、後進の育成に努めています。宮畑さんの車で、東京都江戸川区の武蔵川部屋を訪ねました。

武蔵川親方と、宮畑豊さん

聞き手/山崎豊(本誌編集長) 


新型コロナウイルスの感染予防の観点から、相撲部屋への出入りは厳しく制限されていました。事前に日本相撲協会に申請し、マスクをしての対談。最後に写真を撮る時だけ外しました。

大相撲のテレビ中継を見ていると、インタビューを受ける力士は、いつも短い言葉で答え、多くを語りません。果たして、武蔵丸光洋さんとの対談は、うまくいくのだろうか……。不安を抱えていましたが、私の何倍もある大きな体から、短い言葉が、リズミカルに次々と出てきます。しかもユーモアたっぷり。武蔵川部屋の土俵の前で、笑いながら話が進みました。

横綱への道のり
どんな苦労が?

山崎 相撲界の頂点である横綱に登り詰めるまでに、どんな苦労があったのか、聞かせていただけませんか。

武蔵丸 苦労していないよ。

山崎 えっ、どういうこと?

武蔵丸 目標が決まっているからだよ。「横綱になりたい!」と、目標を立てて入ってきた。その目標に向かって、毎日、うきうきしているんだ。トレーニングも稽古も、楽しくやっている。それでうまくいったんだよ。苦労だと思ったら、うまくいかないよ。

山崎 目標がハッキリしていると、努力するのが楽しくなるのですね。

武蔵丸 そう、結果が出るからね。目標が決まっているから、あとはやるだけ。勝つだけ。どうやって勝つか。やっぱり、努力しないと勝てないんだ。努力するのは楽しいよ。

努力をした人が成功する
相撲は、平等な場所

山崎 高校時代には、ハワイでアメリカンフットボールに打ち込んでいたのですね。選手として、将来性を見込まれて、大学からスカウトされていたと聞きました。それを断って、日本の相撲界に入ろうと思ったのは、なぜですか。

武蔵丸 チャレンジ精神だね。フットボールは、いつでもできる。相撲は、なかなかできない。プロの相撲は、日本でしかできない。「この道で生きていこう」と決めたんだ。チャンスをつかんで日本へ来た。それが18歳の時だった。

山崎 日本語の勉強はしたのですか。

武蔵丸 日本語は全く分からなかった。だけど、チャレンジしたかった。「ちょっと日本へ行ってやってみたい」という気持ちでは、絶対にうまくいかない。チャレンジ精神が大切だよ。だから、18歳で、全部捨てて日本へ来た。フットボールも、家族も置いてきた。父親が、「自分のやりたいことを、思いっ切りやれ」と言って押し出してくれたのがうれしかった。

山崎 言葉も分からず、食生活も文化も違う所へ飛び込んできたのですから、大きなストレスがあったのでは?

武蔵丸 毎日、稽古、稽古、ひたすら稽古する。それがストレスを発散する場だった。

山崎 そこまでできたのは、やはり目標がハッキリしていたからですね。

武蔵丸 いつも目標は、高く持っていた。目標に向かって努力するのは当たり前だよ。楽しくやることだよ。

(『月刊なぜ生きる』令和4年11月号より)

続きは本誌をごらんください。

『月刊なぜ生きる』令和4年11月号
価格 600円(税込)