【第13回】日々を彩る書道エッセイ 花咲く書道 今月のテーマ「寂」
花咲く書道家・永田紗戀(ながたされん)さんが作品に込めた想いをエッセイで綴ります。
花咲く書道の描き方も写真付きで紹介。気持ちの伝わる「書」が魅力的です。
見るだけで心に花が咲いたような、気持ちが和らぐコーナーです。
「弟ができたんだよ、会わせたいんだ」
電話口でそう私に告げたのは、紛れもない父でした。離れてから思い出す父は、この家を出た時の寂しそうな表情のままでした。あの日から止まったままの記憶の中の父と、少し恥ずかしそうな電話の父の明るい声が一致しない。
なんだ、父は幸せに過ごしていたのか。弟ができた? いつの間に? なんで会わなきゃいけないの?
母にも恋人がいる。「まだみんなには秘密ね」と母は私に恥ずかしそうに教えてくれた。
父と母は、次の人生を歩み始めている。二人は傷ついて、苦しんで生きている、そう思ってきた。違った。
「私には妹しかいない!」
父にどなりつけ、その電話を切った。
授業中も、黒板に浮かび上がるのは幸せそうな笑顔の父と、知らない女性。きれいな家とかわいい赤ちゃん。
同様に母の帰りが遅いと、知らない男性の姿がはっきりと浮かぶ。
学校に行けばみんなが幸せそうに見える。家に帰れば祖母の体調を気遣い、母の顔を見ると悲しくなってしまい、何も知らない妹がうらやましかった。
家族って何だろう……。私はなぜこんなところに生まれてきたんだろう……。そんなことばかり日記につづる中で、はっきりと心に大きな穴が空いた音がした日がありました。




プロフィール
(『月刊なぜ生きる』令和4年12月号より一部抜粋)
今回のエッセイでは、創作の原動力について語っていただきました。
エッセイ全文と花咲く書道の描き方は 『月刊なぜ生きる』令和4年12月号をごらんください。
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