豊かになっても幸せになれなかった日本
「生きる」ことを、大海を漂う丸太を求めて泳ぐことに例えるなら、私たちが目指している浮遊物の代表は、「お金」ではないでしょうか。
先進国では、子育てに多額の出費をする傾向があります。小さい頃からよい教育を受けさせることが、将来、高い地位に就いて経済的に豊かになることにつながり、それこそが子どもの「幸せ」だと考えての投資でしょう。
では本当に、お金が増えれば幸福感も増えるのでしょうか。日本のGDP(国内総生産)は、1958年を基準とすると、それからの50年間で、実に6倍に増えました。ところが驚くべきことに、その間の生活満足度は、ほとんど変わっていないのです。(図1参照)
物質的に豊かになっても、幸福感が増えない現象は、世界中で確認されていて、発見者にちなんで「イースターリンのパラドックス」と呼ばれています。世界各国のGDPと幸福感の関係を調べると、貧困国ではGDPが増えるにつれて幸福感も増加しますが、ある程度の経済水準に達すると頭打ちになり、GDPが上昇しても幸福感には影響しなくなってしまうのです。(図2参照)
ここから、生きていくのに必要なお金さえないのは不幸ですが、必要以上に金銭があったところで、幸福にはなれないということが分かります。
(『月刊なぜ生きる』令和6年2月号より)
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『月刊なぜ生きる』令和6年2月号
価格 600円(税込)