孫に「将来は何になりたいの?」と聞いても、 「別に」とか、「分からない」とか言います
高校生と大学生の孫がいます。孫に「将来は何になりたいの?」と聞いても、「別に」とか、「分からない」とか言います。
「そんなことではダメよ。目標をしっかり持って」と言いたいのですが、以前そう言った時に、泣きだしてしまい、困りました。
孫に幸せになってもらいたいと思いますが、どう接するのがいいでしょうか。
親 なぜ、夢や希望を持てない若者が増えているのか
私たちは小さい頃、「将来、何になりたい?」と聞かれて、「パイロット」とか、「お花屋さん」とか答えることがよくあったと思います。少し大きくなると、その夢はもう少し現実的なものになるのですが、それでも「目標を持つことは大事」「夢に向かって頑張れ」と教えられてきたと思います。
ですから、今の高校生や大学生に、「将来何になりたいの?」と聞くのは、別に特別なことではないと思いますし、それに対して「別に」とか「分からない」とか答えられると、「そんなことではダメじゃない」と言いたくなる気持ちも分かります。
しかしこのように答えるのは、このお孫さんだけではなく、今の若い人たちに決して少なくないことだと思っています。
平成14年に行われた若者(25~34歳)の意識調査では、将来、自分の生活がよくなると考える割合は、わずか15パーセントに過ぎませんでした。40パーセントの若者が、今よりも生活程度が悪化すると答えています。
また東京都の調査によると、小学5年生の約半数、そして中学2年生の7割以上が、「将来日本社会は今以上にはよくならない」と回答しています。
別の調査では、若者の将来に対する意識を尋ねたところ、「不安」で「暗い」と答えた若者は、6割近くに上りました。
昭和の時代には、科学技術の発展とともに、人類は進歩を遂げ、より豊かに、より幸せになると皆が信じていました。1970(昭和45)年に行われた大阪万博のテーマは、「人類の進歩と調和」で、多くの人が豊かで平和な未来を思い描いていたのです。
しかしそれから約50年たった今、現実はどうでしょうか。科学技術は驚くほど進歩し、テレビ電話、空飛ぶタクシー、宇宙旅行など、ほとんどが実現しようとしています。その一方で、紛争はなくならず、凶悪犯罪は多発し、児童虐待の件数は年々増え続けています。地球温暖化、異常気象、大気汚染、プラスチックごみ問題など、地球環境の悪化も深刻で、さらに、およそ二年前に突如始まったコロナ禍による世界の死者は、ついに500万人を超えました。
(『月刊なぜ生きる』令和4年2月号より)
◆ 明橋大二先生のハッピーアドバイス
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