絵本・紙芝居作家 長野ヒデ子さん|楽しさ、喜びが生きる力に!

▼新年号の表紙に、タイのおかあさんが登場!麦わら帽子をかぶり、ハイヒールをはいて海から飛び出してきました。発刊から26年も愛されている絵本の主人公「せとうちたいこ」さんです。

作者の長野ヒデ子さんに会いたくて、神奈川県鎌倉市のアトリエへ向かいました。長野さんは絵本作家としてデビューして45年。現在は、紙芝居文化推進協議会の会長でもあります。

「絵本や紙芝居は、子どものもの」と思っていたのは大間違いでした。子どもにも大人にも「生きる力」を与えてくれるのです。その魅力をお聞きしました。

山崎  長野さんが、絵本に出合ったのは、大人になってからだそうですね。

長野  そうなんです。私は、愛媛県の瀬戸内海に面した小さな村に生まれました。今は合併して今治市になっています。

子どもの頃は、村に本屋も、図書館もなかったので、あまり本を読むことができなかったのです。大人になってから、「絵本って、こんなに面白いんだ」と思って、買い始めたのですよ。

絵本は、「子どもの本」ではなくて、「子どもにも分かる言葉で書いてある本」なのです。大人になってからこそ、絵本を読んでもらいたいですね。

(中略)

山崎  子どもは、同じ絵本を何度も読みたがりますね。

長野  そのとおりですね。私の絵本『おかあさんがおかあさんになった日』には、読者の皆さんから、「子どもが何回も何回も読んでいます」とか、「まだ文字の読めない小さな子が、繰り返し読んでほしいと言います」という感想が、たくさん届いています。

『おかあさんがおかあさんになった日』は、おかあさんが、あかちゃんを生むまでの期待と不安、そして喜びを描いた絵本です。平成5年に発刊されて以来、30年近くも売れ続けているロングセラーです。

タイトルのページには、「あなたが うまれた日のこと……」と書かれています。そして、ページをめくると、「あかちゃんの うまれるよてい日が、とっくにすぎたのに、なかなか うまれなかったので、おかあさんは にゅういんすることに なったの……」と、病院で無事に出産するまでの日々の様子が描かれていきます。

最後のページは、こんな言葉で締めくくられています。

「はじめての おっぱい。 あかちゃん こんにちは、おかあさんよ。 よろしくね。 あなたのおかげで、わたしはおかあさんに なれたのよ。 わたしのあかちゃん、ありがとう。 あなたの うまれた日。 おかあさんが おかあさんになった日」

山崎  この絵本を、子どもが繰り返し読むのですか?

長野  はい。私も、なんでだろうと、心理学の先生や産婦人科医に尋ねてみました。すると、こう言われたのです。「子どもは、自分が、いかに望まれて生まれてきたのかを確認したいと思っているのです。小さい子は、言葉では言わないけれど、体の中で思っているのです。この絵本を読むと、母親がどんな思いをして自分を生んでくれたのかが分かります。それを確認することによって、子どもの生きる力になるのです」

山崎  「自分は大切な存在だ」「必要とされている」と感じることが、子どもの生きる力になるんですね。

長野  40歳くらいの男性の人から、お手紙を頂いたことがあります。このように書かれていました。

「最初に、この絵本を図書館で読んだ時、涙が出てしまいました。すぐに自分で買って、繰り返し読んでいます。私は、これまで職業を転々として、母に迷惑ばかりかけてきました。だけど、母が、こんな思いで自分を生んでくれたのかと思うと、涙が止まらなくなったのです」

山崎  この人は、長野さんの絵本に出合ったことによって、生きる力を得たのだと思います。まさに絵本は、子どもから大人まで、みんなのものなのですね。

(『月刊なぜ生きる』令和4年1月号より)

本誌では続けて、長野さんの人気絵本「せとうちたいこ」さんシリーズが生まれたきっかけを語っていただきました。

また、紙芝居が老人ホームや介護の現場で急速に広まっているそうです。テレビやラジオとは違う、紙芝居の魅力をご紹介しています。

全文をお読みになりたい方は『月刊なぜ生きる』令和4年1月号をごらんください。

『月刊なぜ生きる』令和4年1月号
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