なぜ相続をめぐって争いになるのか

法律で決まっているはずなのに

相続については、「法律で割合も決まっているし、そんなにもめることはないだろう」と考えている人がほとんどです。しかし、実際には、話し合いがまとまらず、裁判所で長い時間をかけて解決しなければならないことがよくあります。家族の中で争いになることから「争族」といわれたり、争い事が長く続くので「争続」といわれたりすることもあります。皆さんも、どうしてそんなにもめるのか不思議に思われるのではないでしょうか。

相続人が2人以上いる場合、どの財産を誰が相続するかは話し合いによって自由に決めることができ、1人が全部の財産を相続することもできます。しかし、話し合いがまとまらない場合もありますので、法律で相続の割合が決められています。例えば、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、夫が亡くなると妻が2分の1、子どもがそれぞれ4分の1となっています。子どもがいない場合には、夫のきょうだいにも相続分が認められ、そのきょうだいが亡くなっている場合には、甥や姪にも相続権があります。

ただし、この割合はあくまで目安であって、誰が何を相続するかを決めるにはいろいろなことを考慮しなければなりません。

少し専門的な内容も含まれるため、難しいと感じられるところもあると思いますが、できるだけかみ砕いて説明したいと思います。

相続人の範囲

相続人が誰かということは、戸籍でハッキリしているので争いになることはないと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。例えば、養子縁組をしている場合、養子は相続人となりますが、「縁組は無効だ」と争われることがあります。養子縁組は市役所等に縁組届を出すことで成立しますが、届け出をした際に、養親が認知症などで判断能力がなかったような場合、養子縁組は無効となるからです。そのようなケースでは、病院の通院記録などを調査することになります。

遺産の範囲

相続の話し合いをするに当たっては、どれだけの遺産があるかということが問題となります。亡くなった時点での不動産、銀行預金などが遺産となりますが、生前に銀行預金からお金が払い出されていた場合、そのお金が現金としてどこかに隠されているのではないか、あるいは何か高価な美術品などに変わっているのではないかという疑問が出されることがあります。

また、親が子どもや孫の名義で預金をしていることがあります。今は、本人確認が必要なので、他人名義の口座を作ることはできませんが、昔は可能でした。そうすると、子ども名義の預金は、子どものものなのか、それとも親の遺産なのかが問題となります。 さらに、最近はデジタル遺産が問題になることもあります。暗号資産(仮想通貨)の調査はかなり困難ですし、時間もかかってしまいます。

(『月刊なぜ生きる』令和5年4月号より)

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